研究内容
生体由来のバイオ分子がもつ「自己組織化」「複合化」「分子認識」といった特性を利用して新しい有用材料・物質生産技術を開発しています。資源の有効利用、省エネルギー、環境にやさしいものづくりなど、化学・バイオ技術に対する社会的要請に応える研究開発を目指しています。
研究テーマ
1. 酵素反応を効率よく利用するための反応技術を開発しています。
酵素は生体内の様々な反応を触媒するタンパク質です。本研究室では、酵素の潜在能力を利用して高効率・高度選択的な物質生産技術の開発に取り組んでいます。多くの酵素は通常、水に溶けた状態で効率よく反応が進むように作られていますが、本研究室では、一般的な均一系水溶液ではなく、不均一系反応場(分散微粒子、非水溶媒、微小空間)で効率良く酵素反応を行う方法に注目しています。未利用資源である「バイオマス」を有効利用するための反応プロセスの開発に力を入れています。
(テーマ例)
・非水系酵素反応を利用したバイオマスからの有用物質生産
・磁性ゲル担体を利用した高機能固定化酵素の開発とバイオマス処理への利用
・生体分子のナノ構造体に組み込まれた酵素の反応特性評価
2. いろいろな分子集合体の作製と機能開発を行っています。
生体内の分子の多くは各々独立してはたらいているのではなく、たくさんの分子が集合化・複合化することで優れた機能を発現しています。本研究室では、生体由来の分子が集まってできた様々な「分子集合体」の作製と機能開発を行っています。 多数の分子、異種の分子が集合することではじめて発揮される現象の応用とメカニズムの解明に取り組んでいます。
(テーマ例)
・新しい脂質分子集合体の作製と光学材料への応用
・生体由来の高分子電解質と脂質分子の複合化によるサブミクロン分散粒子の作製
・物質封入効率の高い脂質カプセル(リポソーム)作製技術の開発とドラッグデリバリーシステムへの応用
3. 生体高分子を利用した微粒子材料の作製と機能開発に取り組んでいます
多糖類やタンパク質をはじめとする生体由来の高分子化合物は、その構造の多様性とユニークな機能性から、様々な材料の素材として利用が期待されます。本研究室では、生体高分子の特徴である生体適合性・環境適合性、環境応答性・生分解性を活かした高機能な微粒子材料の開発を目指しています。
(テーマ例)
・均一径エマルションを基材とした生体高分子ゲル微粒子の作製
・高分子多層被覆処理による外場応答性マイクロカプセルの作製
・生体高分子微粒子を利用した水質汚染物質の分離除去技術の開発